「これはTCPですか?UDPですか?」
ネットワーク機器の設定画面やファイアウォールのルールを見ていると、TCPやUDPという言葉に出会うことがあります。
名前は聞いたことがあっても、実際に何が違うのかを説明できる方は意外と少ないかもしれません。
この記事を読むと、次のことが分かるようになります。
- TCPとは何か理解できる
- UDPとは何か理解できる
- TCPとUDPの違いが分かる
- どんな場面でそれぞれが使われているか分かる
- ポート番号との関係が分かる
技術的な詳細には深入りせず、まず基本的な考え方をつかむことを目的に解説します。
TCPとは?
TCPとは、データを信頼性高く届けるための仕組みを持った通信方式です。
イメージとしては、
「相手に届いたことを確認しながら荷物を送る」
と考えると分かりやすいでしょう。
TCPには、データが届いたことを確認したり、届かなかったデータを再送したり、データの順序を整えたりする仕組みがあります。
そのため、データを正しく届けることが重要な通信で広く利用されています。
UDPとは?
UDPとは、TCPと比べてシンプルな仕組みでデータを送る通信方式です。
TCPのように、データが届いたことの確認や再送、順序を整える仕組みをUDP自体は持っていません。
イメージとしては、
「相手からの受け取り確認を待たずにデータを送る」
と考えると分かりやすいでしょう。
通信の仕組みがシンプルなため、リアルタイム性が重要な通信などで利用されています。
ただし、UDPだから必ず高速になるわけではありません。
TCPとUDPの違い
基本的な違いを整理すると、次のようになります。
- TCP:到達確認・再送・順序制御などの仕組みを持つ
- UDP:それらの仕組みをUDP自体には持たず、シンプルにデータを送る
TCPは、データを正しく届けることが重要な通信に向いています。
一方UDPは、アプリケーション側で必要な処理を行ったり、リアルタイム性を重視したりする通信で利用されています。

TCPが使われる代表例
TCPは、データを正しく届けることが重要なさまざまな通信で利用されています。
代表的な例としては、
- Web通信
- メール
- ファイル転送
などがあります。
ただし、現在のWeb通信がすべてTCPを使っているわけではありません。
HTTP/1.1やHTTP/2ではTCPが使われますが、HTTP/3ではUDPを利用するQUICという仕組みが使われています。
初心者のうちは、
「TCPはWebやメールなど、多くの通信で広く使われている」
程度に理解しておけば十分です。
UDPが使われる代表例
UDPは、シンプルな通信方式であることを活かして、さまざまな用途で利用されています。
代表例としては、
- 音声・映像などのリアルタイム通信
- DNSの問い合わせ
- 一部のオンラインゲーム
- HTTP/3で利用されるQUIC
などがあります。
例えばリアルタイム通信では、少し前のデータを再送して待つよりも、新しいデータを次々と届けることが重要になる場合があります。
ただし、音声・映像通信なら必ずUDPが使われるわけではありません。
アプリケーションや通信方式によってTCPが利用されることもあります。
DNSについて詳しく知りたい方は「DNSとは?」「DNSサーバーとは?」もあわせてご覧ください。
ポート番号との関係
TCPとUDPは、どちらもポート番号を利用します。
ポート番号は、
「通信先のどのサービスなのか」
を識別するために使われる番号です。
詳しくは「ポート番号とは?」で解説しています。
ここで重要なのが、TCPとUDPのポート番号は別々に扱われるということです。
そのため、
- TCPの53番ポート
- UDPの53番ポート
のように、同じ番号でもTCPとUDPでは別のものとして扱われます。
ファイアウォールの設定などでは、
「ポート番号だけでなくTCPかUDPか」
まで確認する必要がある場合があります。
ファイアウォールについては「ファイアウォールとは?」もあわせてご覧ください。
TCPとUDPはどう使い分けられる?
TCPとUDPは、どちらか一方が優れているわけではありません。
通信に必要な性質によって使い分けられています。
例えば、
データの到達確認や再送などを通信方式に任せたい → TCP
よりシンプルな通信を利用し、必要な処理を用途に合わせて実現したい → UDP
という違いがあります。
実際にどちらを利用するかは、アプリケーションや通信プロトコルを設計する側が決めています。
社内IT担当としては、自分でTCPとUDPを切り替えるというより、
「この通信ではTCPとUDPのどちらが使われているのか」
を確認できることが実務では重要です。

「TCPだから遅い・UDPだから速い」と単純に断定しない
TCPとUDPの違いを、
「TCP=遅い、UDP=速い」
だけで覚えるのはおすすめできません。
TCPには到達確認や再送などの仕組みがあり、UDPにはそれらが標準ではありません。
しかし、実際の通信速度や体感速度には、
- ネットワークの回線状況
- 通信先までの距離
- 機器の性能
- アプリケーションの仕組み
- 通信するデータ量
など、さまざまな要素が関係します。
そのため、
「UDPを使えば必ずTCPより速くなる」
とは限りません。
TCPとUDPは単純な速さの違いではなく、通信の仕組みや特徴が異なると考えましょう。
ネットワークトラブル時にTCP/UDPを意識する場面
社内IT担当がTCPとUDPを意識することが多いのは、ネットワーク設定やトラブル対応の場面です。
例えば、
- 特定のアプリケーションだけ通信できない
- ファイアウォールの変更後に通信できなくなった
- 「TCPの〇〇番ポートを許可してください」と依頼された
- 「UDPの〇〇番ポートが必要です」と言われた
といったケースです。
このような場合、
「何番ポートを使うのか」だけでなく「TCPなのかUDPなのか」
も確認する必要があります。
ただし、TCP/UDPだけで通信トラブルの原因を断定することはできません。
IPアドレスやポート番号、ファイアウォール、ネットワーク経路などもあわせて確認しましょう。
疎通確認の基本については「pingとは?」もあわせてご覧ください。
社内IT担当が覚えておくこと
最低限、次のポイントを押さえておきましょう。
- TCPには到達確認・再送・順序制御などの仕組みがある
- UDPはTCPよりシンプルな仕組みでデータを送る
- TCPとUDPの両方にポート番号がある
- 「TCP=遅い」「UDP=速い」と単純に覚えない
- アプリケーションによってTCPとUDPの両方が使われる場合がある
初心者のうちは、
TCP=確認しながら届ける
UDP=確認を簡略化して届ける
というイメージから始めると分かりやすいでしょう。
まとめ
TCPとUDPは、ネットワークでデータをやり取りするために使われる代表的な通信方式です。
TCPには、データの到達確認や再送、順序制御などの仕組みがあります。
一方UDPは、それらをUDP自体では行わない、よりシンプルな通信方式です。
どちらが優れているというものではなく、通信の目的に応じて使い分けられています。
社内IT担当としては、
「ポート番号だけでなく、TCPかUDPかも確認することがある」
という点まで理解できれば、実務でかなり役立ちます。
社内IT担当として押さえておきたい基本用語をまとめて確認したい方は、「社内IT担当が最初に覚えるIT用語30選」もあわせてご覧ください。
よくある質問(FAQ)
Q. TCPとUDPはどちらが優れていますか?
どちらか一方が優れているわけではありません。
TCPとUDPでは通信の仕組みが異なり、用途に応じて使い分けられています。
Q. UDPを使うと、データが届かないことがあるのですか?
あります。
UDP自体には、TCPのような到達確認や再送の仕組みがありません。
ただし、必要に応じてアプリケーション側などで独自に信頼性を確保することもできます。
Q. 同じアプリケーションでTCPとUDPの両方が使われることはありますか?
あります。
アプリケーションの機能や使用する通信プロトコルによって、TCPとUDPを使い分けることがあります。
そのため、ファイアウォールなどを設定するときは、ポート番号だけでなくTCP・UDPのどちらを使うのかも確認することが大切です。