「PC・端末台帳をExcelやスプレッドシートで管理しているけれど、更新が追いつかなくなってきた」
そんな段階になると、IT資産管理ツールの導入を検討することになります。
ただし、すべての会社が専用ツールを導入する必要はありません。
今の台帳で「誰がどのPCを使っているか」「どんなソフトウェアが入っているか」「更新が必要な端末はどれか」を無理なく把握できているなら、まずは現在の運用を続ける選択肢もあります。
一方、棚卸しや更新確認に時間がかかり、手作業では最新状態を維持できなくなってきたら、自動収集できるIT資産管理ツールを検討する価値があります。
この記事では、IT資産管理ツールが必要になるタイミングと、中小企業が候補を絞るときのポイントを整理します。
まだPC台帳そのものを整備していない場合は、先にIT資産管理台帳の作り方から確認してください。
Excel・スプレッドシート管理が厳しくなるサイン
ExcelやスプレッドシートでIT資産を管理すること自体に問題があるわけではありません。
問題になるのは、手作業では最新状態を維持できなくなってきたときです。
たとえば、次のような状態が増えてきたらツールを検討するタイミングです。
- 棚卸しのたびにPCと台帳を一台ずつ突き合わせている
- 入社・退職・異動のたびに台帳の更新漏れが発生する
- 「このPCを現在誰が使っているか」がすぐ分からない
- インストールされているソフトウェアを手作業で確認している
- OSやセキュリティ更新の適用状況を端末ごとに確認している
- USBメモリなどの利用状況を管理したい
- トラブル時に過去の操作状況を確認する手段がない
- 社外へ持ち出しているPCも含めて管理したい
こうした問題は、台帳の項目を増やすだけでは解決しにくくなります。
人が入力する台帳から、端末情報を自動的に集める仕組みへ移行することで管理負荷を減らせる可能性があります。
IT資産管理ツールでできること
IT資産管理ツールの大きな特徴は、PCなどから情報を自動収集できることです。
製品や契約する機能によって違いはありますが、主に次のような管理ができます。
資産情報を自動収集する
対応するPCへエージェントなどを導入し、
- PC名
- OS
- CPU
- メモリ
- ストレージ
- シリアル番号
- インストール済みソフトウェア
などの情報を管理画面へ集めます。
Excel管理では人が確認して入力していた情報を自動収集できるため、棚卸しや更新の負担を減らせます。

ソフトウェア・ライセンスを管理する
どのPCに、どのソフトウェアがインストールされているかを確認できます。
未許可ソフトウェアの把握や、ソフトウェアライセンス管理にも利用できます。
ただし、
「インストールされているソフトウェア」と「会社が契約しているライセンス」は別の情報
です。
端末からインストール状況を収集できても、契約数や購入情報まで自動的に分かるとは限りません。
契約情報と実際の利用状況を組み合わせて管理する必要があります。
OSや更新状況を確認する
WindowsなどのOSや更新プログラムの状態を一覧で確認できる製品もあります。
PC台数が増えると、
「どのPCが更新されていないのか」
を一台ずつ確認するのは現実的ではなくなります。
更新状況を一覧化できれば、対応が必要な端末を見つけやすくなります。
操作ログを確認する
製品やプランによっては、
- PCの起動・終了
- ファイル操作
- Webアクセス
- 印刷
- USBデバイスの利用
などの操作ログを記録できます。
情報漏洩などのトラブルが起きたときに、
「いつ・誰が・どの端末で・何をしたか」
を確認する材料になります。
取得できるログや保存期間は製品・プランによって異なるため、ログ管理を重視する場合は選定時に確認が必要です。
USBなどのデバイス利用を制御する
USBメモリなどの外部デバイスを、
- 使用禁止にする
- 読み取りだけ許可する
- 許可したデバイスだけ使えるようにする
といった制御ができる製品もあります。
IT資産管理だけでなく、情報持ち出し対策まで行いたい会社では重要な機能です。
PCだけか、スマートフォンも管理するかを決める
ツールを比較する前に、管理対象を決めておきます。
たとえば、
- Windows PC
- Mac
- iPhone
- iPad
- Android
- サーバー
のどこまでを管理したいのかで、候補が変わります。
PCだけでよい会社もあれば、社用スマートフォンまで一元管理したい会社もあります。
スマートフォンやタブレットの管理では、MDM(モバイルデバイス管理)と呼ばれる仕組みが使われます。
MDMでは、端末情報の確認だけでなく、対応する環境であれば、
- アプリの管理
- セキュリティ設定
- 紛失時のロック
- データ消去
などを行えます。
PCとスマートフォンの両方を運用している会社では、同じ管理ツールや管理画面で扱えるかも確認しておくとよいでしょう。
クラウド型とオンプレミス型の違い
IT資産管理ツールには、クラウド型とオンプレミス型があります。
クラウド型
ベンダー側のクラウド環境を利用する方式です。
自社で管理サーバーを構築する必要がないため、サーバーの保守負担を減らしやすいのが特徴です。
また、製品によってはインターネット経由で社外にあるPCも管理できます。
テレワークや持ち出しPCが多い会社では候補になりやすい方式です。
オンプレミス型
自社環境へ管理サーバーを構築する方式です。
社内ネットワークや既存システムに合わせた構成を取りやすい一方、サーバー自体の構築・保守・更新も必要になります。
ただし、「クラウドは機能が少ない」「オンプレミスなら高機能」と単純には分けられません。
現在はクラウド版でも多くの管理機能を持つ製品があります。
同じ製品でもエディションによって利用できる機能が異なるため、
クラウドかオンプレミスかだけでなく、実際に必要な機能がそのプランで使えるか
まで確認することが重要です。
IT資産管理ツール4製品を比較
ここでは、中小企業がIT資産管理ツールを検討するときに候補になりやすい4製品を整理します。
順位を付けるのではなく、それぞれの方向性を比較します。
| 製品 | 特徴 | 向いているケース |
|---|---|---|
| LANSCOPE エンドポイントマネージャー | PCとスマートフォンの一元管理、IT資産管理・MDMなどに対応 | PC・スマホをクラウド中心でまとめて管理したい |
| SKYSEA Client View | 資産管理・ログ管理・セキュリティ管理など幅広い機能と複数の運用形態 | ログやセキュリティまで含めて細かく管理したい |
| SS1 | IT資産管理を基本に必要な機能を追加でき、Excelに近い管理画面 | Excel管理から移行しやすさを重視したい |
| AssetView | IT資産管理に加え、PC更新・ログ・デバイス制御など複数領域を扱える | 必要な管理・セキュリティ機能を組み合わせたい |
機能やエディションは変更されるため、最終的な比較では各社の最新公式情報を確認してください。
LANSCOPE エンドポイントマネージャー
LANSCOPE エンドポイントマネージャーは、IT資産管理と端末管理をまとめて行いたい場合の候補です。
特にクラウド版では、WindowsやmacOSのPCだけでなく、iOS・Androidなどのスマートデバイスも管理できます。
PC管理では、
- 資産情報
- Windowsアップデート管理
- 操作ログ
- 記録メディア制御
などを扱えます。
スマートフォンも含めて会社の端末をまとめて管理したい場合に比較しやすい製品です。
また、現在はSaaS管理などにも機能範囲が広がっています。
向いている会社
- PCとスマートフォンを一元管理したい
- 社外にある端末も管理したい
- 自社で管理サーバーを持つ負担を減らしたい
- IT資産管理とMDMをまとめたい
SKYSEA Client View
SKYSEA Client Viewは、
- 資産管理
- ログ管理
- セキュリティ管理
- デバイス管理
など、IT運用管理に必要な機能を幅広く持つ製品です。
オンプレミス版だけでなく、複数のCloud Editionも提供されています。
特にログを使った状況確認や、PCのセキュリティ管理まで広く行いたい場合に候補になります。
一方でエディションによって利用できる機能が異なるため、
「SKYSEAならすべて使える」
と考えるのではなく、必要機能とエディションを対応させて確認することが重要です。
向いている会社
- IT資産管理だけでなく操作ログも重視したい
- セキュリティ管理までまとめたい
- 管理対象が将来的に増える可能性がある
- 自社環境に合わせて運用形態やエディションを選びたい
SS1
SS1(System Support best1)は、IT資産管理を基本に、必要な機能を追加していく考え方を取りやすい製品です。
特徴の一つが、Excelに近い操作感を意識した管理画面です。
列の並び替えや絞り込みなど、これまでExcelで台帳を管理してきた担当者にも比較的イメージしやすい作りになっています。
IT資産管理を基本として、
- Windows更新管理
- ログ管理
- リモートコントロール
- セキュリティ関連機能
などを必要に応じて組み合わせられます。
オンプレミス版とクラウド版の両方があります。
向いている会社
- Excel台帳からの移行を考えている
- 管理画面の分かりやすさを重視したい
- 必要な機能から導入したい
- 導入後に機能を追加していきたい
AssetView
AssetViewは、IT資産管理だけでなく、
- PC更新管理
- 操作ログ
- デバイス制御
- 不正PC対策
- MDM
- セキュリティ関連機能
などを組み合わせて利用できる製品群です。
クラウドとオンプレミスの両方の選択肢があります。
また、現在は従来のAssetViewに加えて、クラウドサービスとして提供されるAssetView Cloud +などもあるため、同じAssetViewでもどの製品・プランを比較しているかを確認する必要があります。
単純に「AssetViewはいくら」と比較するのではなく、自社で必要な管理範囲を先に決めて見積もる方が分かりやすいでしょう。
向いている会社
- IT資産管理とセキュリティ対策をまとめたい
- PC更新やログ管理も候補に入れたい
- 必要な機能を整理して導入したい
- クラウドとオンプレミスを比較したい
料金は「1台いくら」だけで比較しない
IT資産管理ツールは、単純な月額だけで比較しにくい製品です。
確認したいのは次のような項目です。
- 最低契約台数
- 1台または1ユーザーあたりの料金
- 初期費用
- 最低契約期間
- 基本料金に含まれる機能
- オプション料金
- MDMを追加した場合の料金
- 操作ログなどを追加した場合の料金
- 導入支援費用
- 保守・サポート費用
たとえば一見安く見えても、必要な機能を追加すると総額が変わることがあります。
反対に、多機能なプランを契約しても実際にはほとんど使わなければ無駄になります。
そのため、
自社に必要な機能を決めてから、同じ条件で見積もりを取る
のが比較の基本です。
料金やプランは変更される可能性があるため、最終的には必ず公式サイトや見積もりで確認してください。
中小企業が候補を絞る5つのポイント
製品名から選び始めると、機能が多すぎて比較しにくくなります。
先に自社の条件を整理します。
1.何を管理したいか
まず管理対象を決めます。
- Windows PC
- Mac
- スマートフォン
- タブレット
- サーバー
すべてを1つの製品で管理する必要があるとは限りません。
2.絶対に必要な機能は何か
「あると便利」ではなく、必要な機能を先に決めます。
たとえば、
- IT資産情報の自動収集
- Windows更新管理
- 操作ログ
- USB制御
- MDM
などです。
必要機能を絞れば、比較対象も減らせます。
3.誰が運用するか
高機能でも、担当者が使いこなせなければ運用できません。
特に兼任IT担当やひとり情シスでは、
- 管理画面の分かりやすさ
- 自動化できる範囲
- サーバー管理の有無
- ベンダーのサポート
も重要です。
4.社外端末も管理するか
テレワークや持ち出しPCが多い場合は、社内ネットワーク外でも情報を収集・管理できるか確認します。
クラウド型を検討するときの大きな判断材料になります。
5.台数が増えたときの料金を見る
現在のPC台数だけでなく、
- 50台
- 100台
- 300台
など、将来的に増えた場合の費用も確認しておきます。
オプション追加時の料金も含めて比較すると、導入後に想定以上のコストになるのを防ぎやすくなります。
まず資料やデモで管理画面を確認する
IT資産管理ツールは、機能表だけでは使いやすさを判断しにくい製品です。
候補を2〜3製品程度に絞ったら、
- 製品資料
- デモ
- トライアル
- 個別相談
など、利用できる確認方法を使って実際の管理画面を見ておくことをおすすめします。
特に確認したいのは、
「異常のあるPCをすぐ見つけられるか」
「必要な情報へ迷わずたどり着けるか」
「自分が日常的に操作できそうか」
という点です。
機能数が多い製品より、必要な管理を無理なく続けられる製品の方が自社に合う場合もあります。
まとめ
IT資産管理ツールは、Excelやスプレッドシートでの管理が限界になったときに検討するものです。
現在の台帳で問題なく管理できているなら、無理に導入する必要はありません。
一方、
- 棚卸しに時間がかかる
- 台帳が最新状態にならない
- ソフトウェア状況を把握できない
- 更新状況を確認できない
- 操作ログやデバイス制御が必要
といった課題が増えてきた場合は、専用ツールを使うメリットが大きくなります。
候補を比較するときは、最初から製品ランキングを見るのではなく、
管理対象 → 必要機能 → 運用体制 → 提供形態 → 費用
の順に自社の条件を整理します。
LANSCOPE エンドポイントマネージャー、SKYSEA Client View、SS1、AssetViewはそれぞれ方向性が異なります。
「どれが一番高機能か」ではなく、自社が必要としている管理を、担当者が無理なく続けられるかを基準に選ぶことが重要です。