「今日からIT担当をお願いします。」
突然そう言われて、「何から始めればいいの?」と不安になっていませんか。
IT担当になったばかりの人が最初にやるべきことは、サーバーやネットワークの勉強ではありません。会社のIT環境を把握し、業務が止まるリスクを減らすことが最優先です。
実際、中小企業では専任のIT担当者がいないケースも多く、総務や事務職が兼任することも珍しくありません。そのため、「専門知識がないから不安」という状態からスタートする人は大勢います。
この記事では、IT担当になって最初の30日で何をすればよいのかを、1日目・1週間・1か月の3つのステップに分けて解説します。
この記事で分かること
- IT担当になった初日に確認すべきこと
- 最初の1週間・1か月で進めるべき作業
- 初心者がやってはいけない行動
- 業務を止めないための考え方
IT担当になったら最初に知っておくべき3つの考え方
IT担当と聞くと、「専門知識が必要」「難しい設定を覚えなければならない」と思うかもしれません。
しかし、着任直後に最も重要なのは技術ではなく、判断を間違えないことです。
まずは次の3つを意識しましょう。
分からないものは変更しない
見慣れない設定やアカウントを見つけても、意味が分からないまま変更や削除をしてはいけません。
現在の設定は、以前発生したトラブルへの対策や、業務上の理由があって残されている可能性があります。
「不要そうだから削除する」という判断が、会社全体の業務停止につながるケースもあります。
迷ったら、自分だけで判断せず、上司や前任者、システムを管理しているベンダーへ確認しましょう。
自分の権限を確認する
会社によってIT担当に任される範囲は異なります。
例えば、
- ユーザーアカウントを作成できるのか
- ソフトウェアを導入してよいのか
- ベンダーへ直接問い合わせてよいのか
など、判断できる範囲は会社ごとに違います。
着任したら早い段階で、自分の役割と権限を確認しておくことが大切です。
優先順位を決めて進める
30日ですべてを理解することはできません。
そのため、
- 業務停止につながるもの
- 情報漏えいにつながるもの
- 後からでも対応できるもの
を切り分けて進めることが重要です。
「全部やろう」と考えるより、「重要なものから確認する」と考えた方が、結果的に安全に業務を引き継げます。
IT担当になった初日に確認すること
初日に目指すべきなのは、システムを理解することではありません。
「トラブルが起きても誰に相談すればよいか分かる状態」を作ることです。
まずは次の4項目を確認しましょう。
管理者アカウントを確認する
管理者アカウントとは、システムの設定変更やユーザー管理などを行える、最も権限の強いアカウントです。
初日に確認したいのは次の内容です。
- 誰が管理しているのか
- どのシステムに存在するのか
- 会社ではどのようなルールで管理しているのか
認証情報(IDやパスワード)は、会社の管理ルールに従って取り扱ってください。
個人同士で安易に共有したり、メモに残したりすることは避けましょう。
社内システムを確認する
会社で利用しているシステムを一覧で把握します。
例えば、
- メール
- Microsoft 365やGoogle Workspace
- 勤怠管理システム
- 会計ソフト
- 顧客管理システム(CRM)
- ファイル共有サービス
などです。
この時点では、操作方法まで覚える必要はありません。
「どのようなシステムを利用している会社なのか」を把握することが目的です。
バックアップを確認する
バックアップとは、データを別の場所へ保存し、万一データが失われた場合に復元できるようにする仕組みです。
初日に確認する内容は、
- バックアップは取得されているか
- 誰が管理しているか
- 保存先はどこか
程度で十分です。
実際に復元できるかどうかの確認は、業務に慣れてから計画的に行いましょう。
ベンダー情報を確認する
ベンダーとは、システムやIT機器を提供・保守している会社です。
例えば、
- パソコン販売会社
- ネットワーク保守会社
- 会計ソフトの販売会社
- Microsoft 365の販売代理店
などがあります。
最低限、
- 会社名
- 担当者
- 電話番号
- メールアドレス
を確認しておけば、トラブル発生時に迅速に対応できます。

IT担当になって最初の1週間でやること
初日に必要な情報を集めたら、次は会社のIT環境全体を把握していきます。
ここでの目的は、細かい設定を理解することではありません。
「何があり、誰が使い、どのように管理されているか」を把握することです。
IT資産を把握する
IT資産とは、会社が業務で利用しているIT関連の設備やソフトウェア全般を指します。
例えば、
- パソコン
- スマートフォン
- プリンター・複合機
- ソフトウェア
- ライセンス
- タブレット
などがあります。
この段階では、次の内容を一覧にまとめられると理想です。
- 機器名
- 利用者
- 設置場所
- 購入時期(分かれば)
- 管理番号
最初から100%正確である必要はありません。
「まず一覧を作る」ことを目標にしましょう。
定期作業を確認する
会社では毎週・毎月・毎年行っているIT作業があります。
例えば、
- Windows Update
- バックアップ確認
- ライセンス更新
- アカウント棚卸し
- サーバー監視
- ウイルス対策ソフトの確認
などです。
こうした定期作業は、引き継ぎ漏れが起こりやすいポイントでもあります。
前任者の資料や過去のスケジュールを確認し、年間でどのような作業があるのか整理しておきましょう。
アカウントと権限を整理する
ユーザーアカウントも、このタイミングで確認しておきます。
特に確認したいのは、
- 退職者のアカウント
- 異動者の権限
- 管理者権限を持つユーザー
です。
ただし、不要そうに見えても、その場で削除してはいけません。
他のシステムと連携していたり、監査目的で残されていたりする場合があります。
削除や変更を行う前に、必ず影響範囲を確認しましょう。
IT担当になって最初の1か月で整備すること
ここまでで会社のIT環境はある程度見えてきます。
次は、「自分しか分からない状態」を作らないことが重要です。
ドキュメントを残す
業務で分かったことは、少しずつ文書に残していきましょう。
例えば、
- 新入社員のアカウント作成方法
- パスワードリセット手順
- ベンダーへの問い合わせ先
- 定期作業の手順
などです。
最初から完璧なマニュアルは必要ありません。
自分が半年後に見返しても分かる程度の内容でも十分価値があります。
運用ルールを整理する
会社によっては、IT運用のルールが曖昧な場合があります。
例えば、
- ソフトウェアをインストールするときのルール
- パスワード管理方法
- アカウント発行手順
- PC貸与・返却手順
などです。
すべてを新しく決める必要はありません。
まずは現在の運用を整理し、必要に応じて改善案を作成しましょう。
改善点をまとめる
1か月業務を行うと、
- バックアップが取得されていない
- 不要なライセンスが契約されたまま
- 管理者アカウントが複数人で共有されている
など、改善したい点が見えてきます。
気付いたことは一覧にまとめ、
- 内容
- 影響
- 優先度
- 改善案
まで整理すると、上司へ報告しやすくなります。

IT担当になったばかりの人がやってはいけないこと
着任直後は、良かれと思って行った作業が大きなトラブルにつながることがあります。
特に次の5つには注意してください。
分からない設定を変更する
設定変更は、業務停止につながる可能性があります。
意味が分からない設定は、そのままにして確認を優先しましょう。
不要そうなアカウントを削除する
退職者のアカウントでも、他システムと連携している場合があります。
削除前には必ず影響範囲を確認してください。
管理者アカウントを自己判断で変更する
管理者アカウントは複数のシステムで利用されていることがあります。
変更は会社のルールに従って実施しましょう。
一人で抱え込む
障害や不正アクセスが疑われる場合は、一人で解決しようとせず、上司やベンダーへ相談してください。
個人情報に関する問題を自己判断する
個人情報漏えいなどは法令対応が必要になる場合があります。
自己判断ではなく、社内ルールに従って対応しましょう。
まとめ
突然IT担当になっても、最初からすべてを理解する必要はありません。
まずは次の順番で進めましょう。
- 1日目:管理者アカウント・社内システム・バックアップ・ベンダー情報を確認する
- 1週間:IT資産・定期作業・アカウントを整理する
- 1か月:ドキュメント・運用ルール・改善点をまとめる
焦って知識を増やすよりも、「会社のIT環境を正しく把握すること」が最初の仕事です。
一つずつ確認を進めれば、IT担当としての土台は着実に作れます。
よくある質問
Q1. IT担当になったら最初に勉強すべきことは何ですか?
技術書を読む前に、自社のIT環境を把握しましょう。
利用しているシステムや管理者アカウント、バックアップ体制を理解する方が、実務では役立ちます。
Q2. 前任者がいない場合はどうすればいいですか?
契約書や請求書、メール履歴などから利用中のシステムを洗い出しましょう。
分からない場合は、上司の了承を得たうえでベンダーへ問い合わせることも有効です。
Q3. トラブルが起きたら自分だけで対応するべきですか?
いいえ。
判断に迷う場合は、一人で対応せず、上司やベンダーへ相談してください。